2007年8月13日月曜日

「日本映画史100年」 四方田犬彦と「邦画の昭和史」 長谷部日出雄

 今日は本の感想文。
 
 「日本映画史100年」 四方田犬彦著
  新書で日本映画100年をざっとではなく、かなり詳細に解説してある。すごい情報量である。ただ、やっぱ、それだけの情報量をまとめるので、イデオロギーっぽいのを使っているんで、70年代あたりのオレのキライなATGやら独立プロの作品、やたら、持ち上げているあたり、香ばしい。あと、日本映画を形容するのに、ほら、ブニュエルとかパゾリーニとか持ち出したりする。こういう感覚自体古くさいということがわかって書いているんか、無意識のうちに、やはり、こうした古い文体に頼ってしまっているのか。

 それはしゃあないとして、日活のところに入ると「率直にいってわたしは、この瞬間のために、本書のこれまでの部分を執筆してきた気がしている」と、おおおおおっ、と思わせておいて、2ページほどで終わってしまう。うーん。
 
 「邦画の昭和史」 長谷部日出雄 
 こっちは、「スターで選ぶDVD」と副題、帯の惹句が「失われたかっこよさを求めて」
 という割り切り方がいい。
 こっちの方が、当然上記の本より、明快、わかりやすい。そして、若々しいのである。


 四方田犬彦は5つ年上の1953年(昭和28年)生まれ、そして長部日出雄は25年上の1934年の昭和9年生まれである。
 
 本の性格そのものが違うんで、同列で比較するんは、良くないが、ともかく、映画産業そのものが落ち目で、他になんぼでもオモロイことがある中、何らかの理屈付けをせな、わざわざ映画館に足を運べない世代と、映画が全盛で、そこいらに映画館がフツーにあって、しかも映画館がほぼ満員ちゅう時代において、映画そのものがごくごく自然にカラダの中に入ってしまっている世代との差を感じた。

 まあ、オレとしては、映画はキレイ姉ちゃんが出てて、音楽が良かったら、そいで、エエ、ちゅう程度ですよって。


 

日本映画史100年
 
  
 
 

邦画の昭和史―スターで選ぶDVD100本

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