ホンマ寒いでんなぁ。ストーブがんがん焚いても摂氏10度以上にならないこの一室で、見てはもらえぬブログを寒さこらえて更新しています。男心の未練でしょうか?・・
一週間ほど前、某所で「定吉七番」(1985年の角川文庫版)の解説を矢作の俊ちゃんが書いてあることを、知り・・というか、思い出させてもらい、当然のことながら、読み返したくなるも、オレのはもうどっかやってしまっているので、もう、いてもたってもおられず、近所のブックオフやらそれ系統のワケのわからん古本屋、片っ端から入って探索をするも、93年復刊の講談社文庫版しか見つからず(東二見で小林信彦「ドジリーヌ姫の冒険」を50円でげっと、三田で山田風太郎「妖説太閤記」上下各105円でげっと)、半ばヤケクソで、アマゾンで検索すると、あっさりみつかり、それも70円台のクソ安さ(但し、郵送料380円ぷらす)、思わず注文し、本編「殴り読み」しながら、矢作俊彦の「解説」を繰り返し繰り返し読んどるわけであるが。
定吉七-セブン-は丁稚-デツチ-の番号 (アマゾンでの角川文庫版へのリンク)
矢作俊彦の「解説」ちゅうのは・・・
東郷健がまだパリの下宿で水道電気止められアフガン難民にもらった毛布一枚で暖をとるような生活を送っていた時、訪れた矢作俊彦が、東郷健が書きためた原稿をみつけ、紹介していく、という形式なのだが、 そこで紹介される、ミュージカル用の台本とかプロットがめちゃくちゃオモロイのである。オモロイ、というより、ぱあああああああっと気持ちが自由になれるわけだ。
だいたい、タイ王室とダスキンのセールスレディによる「王様とタワシ」とか強制収容所でナチの親衛隊のタップと共に唄われる「人間石鹸、良い石鹸」が入った「マイ・フェア・ヒトラー」とか、いじめられっ子が松葉杖を手にして権力を持つ「ときどき駆ける少女」、上野アメ横で東北人によって繰り広げられるカサブランカ風ストーリーとか、ほれ、オレが好きそうな話ばっかが並べられるわけである。
ホンマにパリで東郷健の書きためていた(暖をとるため、すんでのところで燃やされるところだったが矢作俊彦が2000円出して救った)もんなんか、そいとも、矢作とのバカ話から生まれたプロットなのか、そいとも、矢作俊彦ひとりの暴走なのか、ようわからんとこがええ。
先日の羊水発言と謝罪会見とかで、心底がっかりしていたのだが、ホンマ、ともかく、表現者たるもの命がけで自由を行使してほしいもんである。地道にキューティ・ハニー唄っとけ。
本編の「定吉七番」そのものが007のパロディというか、「日本人は世界の丁稚である。しかし、それは考える丁稚である」という橋本治の「日本の行く道」に匹敵する高尚なテーゼによって構築された小説というか。オレが書くと歯切れ悪すぎるから、引用する
定吉七番- Wikipedia
定吉七番(さだきちせぶん)は東郷隆のスパイアクションコメディー小説シリーズ。基本的な設定は著名なスパイ小説および映画『007』シリーズのパロディである。
『定吉七は丁稚の番号』 (角川文庫、1985年) ISBN 4-04-161901-7 (講談社文庫、1994年) ISBN 4-06-185557-3 「ドクター・不好(プー・ハオ)」、「オクトパシー・タコ焼娘」の2作を収録。
『ロッポンギから愛をこめて』 (角川文庫、1985年) ISBN 4-04-161902-5 (講談社文庫、1994年) ISBN 4-06-185625-1 「ロッポンギから愛をこめて」を収録。
『角のロワイヤル』 (角川文庫、1986年) ISBN 4-04-161903-3 「角のロワイヤル」を収録。
『ゴールドういろう』 (角川文庫、1986年) ISBN 4-04-161904-1 (講談社文庫、1994年) ISBN 4-06-185696-0 「ゴールドういろう」を収録。
『太閤殿下の定吉七番』 (角川文庫、1988年) ISBN 4-04-161905-X 「秀吉の黄金」、「真昼の温泉」の2作を収録。
まあ、映画「太陽を盗んだ男」の主人公的立場になったら、まっさきに角川文庫に電話して東郷健の定吉七番シリーズ(小林信彦の「オヨヨシリーズ」も)は復刊させてやるんだが。そんなことしなくても、Yahoo!オークションやら、アマゾンやらこまめにチェック・・・・あ、だから、気持ちがちっこくなるのか。日ごと寒さがつのります、あああ津軽海峡冬景色。