暑い。
敗戦記念日。
お盆。
まあ、こういうこと常識であるが、お盆の期間内、須磨海岸で泳ぐと、「死人」に海中から足を引っ張られるのであーる。だから、溺れるのであーる。だから、泳いだらアカンのであーる。あと、お盆の初期は、死人が須磨の沖の方から魚に乗って帰ってくるので、魚を獲ったりしたら、アカンのであーる。ましてや、その魚を食べたら、アカンのであーる。だから、漁師さんは魚を獲らないのであーる。
小学校入る前、須磨の漁師のおっさんが云うてたから、まちがいはない。ずーっと、信じてた。
だけど、須磨海岸の海水浴客は、お盆でもいっぱいいっぱい来ているんであるが、オレは、ちゃんと、お盆は避けてた。
そういうもんである。
もちろん、お盆の頃から、土用波がたったり、クラゲが増えたり、わけのわからん藻が増えて、赤潮青潮とかになったりするというのもある。けど、やっぱ、死人に足引っ張られたら困る。
ただ、「死人」、おれが当初想像したように、須磨で溺れてそのまま行方不明になり海中にわかめの間に漂ってて、楳図かずお的様相をした「死人」ではなく、須磨の当時の漁師さんの云うところの「死人」とは、亡くなった祖父母、曾祖父祖母とかいわゆる「ご先祖さま」のことも、「死人」ということに気がついたのは、ごくごく、最近のことである。
いわゆる「ご先祖さま」という言葉が無かったのであーる(もちろん、今は違います)。