2009年4月23日木曜日

GSワンダーランド、に関して感じたこと。

 34のおっさんが、酒飲んで裸で深夜大暴れ、ちゅうのは、まあ、しゃあない。でも、そもそも、そのおっさんが34にもなって、なおも「アイドル」やっとることが異常なんであーる。ステテコ腹巻きどてらで真っ昼間からコップ酒片手に新世界あたり徘徊しとる34才が同様の行動とっても、事件にもならない。まあ、スワローズファンとして云わせて貰うが、何があったが知らんが、この三夜、連続して、スワローズファンは泥酔して大声で讀賣の悪口叫んでジャビットのぬいぐるみ食い破りたい(「全裸」は風邪引くので遠慮しとく)衝動をじっとガマンしとるのである。おっさんと云え34はまだ若造だ、辛抱が足りん! 


  

"GSワンダーランド プレミアム・エディション [DVD]" (本田隆一)

 30面下げておっさんが「アイドル」しなくても良い時代。その時代を舞台にした、GSワンダーランド、観た。観て、後悔した。しもた、映画館で観たら良かった・・・。
 楽しかった。いやあ、爽快爽快。いや、こんな爽快な気分になった映画はひょっとしたら、初めてである。実際、この三夜連続讀賣戦の憂さがきれいに晴れたほどである。

 細部あれやこれや云いたいとこはもちろん、ある。ただ、それは「ジャズ喫茶でのライブシーンでの女性客、倍の人数にしてくれ」「ミニスカ娘のさりげないパンチラシーンが数カ所は欲しかった」以外は、「オレならこんなグループ 出したるのになぁ」レベルのごく私的なもので、「ガタガタ言うんならお前もGS映画作れ」と云われたら、「すみませーん」と謝るレベルのものである。

 しかし、贅沢な映画である。

 時代そのものをフィルムの中に再現した上、架空のグループサウンズをでっちあげ、架空のライバルグループをでっちあげ、しかも、それに付随して大量の架空の曲をでっちあげ、それをでっちあげたグループに演奏させるのだ。しかも、筒美京平+橋本淳コンビに新曲まで作らせたりしとる。まるで、「映画」を「タイムマシーン」にして、あの時代にタイムスリップして、遊びまくっている感じすら、する。しかも、時代は68年から70年まで激動しまくっていく。

 あと、嬉しいのは、ちゃんと、カルトGSというかB級GSに対しての「愛」を映画から充分に感じられるところである。
 タイトルバックに流れるのは、ライオンズの「すてきなエルザ」(これは実在したグループサウンズの実在した曲)で、あの強烈に調子外れているコーラスまでもきっちり再現されているし、途中シングルジャケットだけで紹介されるのだが、ザ・クーガース、ダイナマイツ、レオ・ビーツ、ザ・ビーバーズ、ジ・エドワーズ、ジェノバとかカルトGSの面々でてくる。音があればもっと嬉しかったが、まあ、「ガタガタ言うなら、てめえで作れ」で終わってしまう要求だろう。  

 ライバルというか先輩の憎たらしい グループサウンズに、高岡蒼甫率いるナックルズというバンドが出てくるが、時代に迎合し69年になると、ど長髪ヒゲグラサンのヒッピースタイルになって、「ニューロック」しはじめるとこなんか、すごく笑えた。
 

 GSにハマりまくった人間としては こたえらない映画であると同時に、際限なく自分の欲望、つまり、オレならこーするあーする、こーしたいあーしたい、を触発されまくる映画である。よくもこういう映画作ったもんである。

 
 映画として、巧いなあ、と思ったのは、栗山千明の存在である。今まで、ホンマのGS映画(タイガースとかテンプターズやスパイダースが主演の映画ということ)観てきたが、美少年が揃っているとはいえ、メンバーみんな男だと、男のオレが観るとそのうちむさ苦しくなってくるのだが、この映画ではGSのメンバーの一人に栗山千明を加えることで、しかも、男装でタイツ姿という微妙なお色気があり、だれずにすんだ。

 ストーリーも、それなりに胸キュンで終わる。今日日の映画みたいに難病や自殺やらあれやこれや詰め込んだり、アングラ系や全共闘系のややこしいややこしい難しい難しい問題入れたりしなかったので、音楽が頗る良質なフツーの青春映画としても、楽しめるだろう。
 
 ・ソロになっての栗山千明の曲、かなりエエ曲なのだが、サントラに入っていない・・・なんで??
 ・「海岸線のホテル」そらで口ずさんでいると、いつのまにか、オックスの「ダンシング・セブンティーン」唄っている・・・おれだけか?


"GSワンダーランド・オリジナル・サウンド・トラック" (サントラ, ザ・ライオンズII, ザ・ダイアモンズ, ザ・タイツメン, ラブ・ジェネレーション, ザ・フレッシュ・フォー, ザ・ナックルズ)

 
 

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