2009年4月1日水曜日

荒木一郎問題について

 まだまだ、寒いが明日あたりから温かくなるらしい。
 iPodつなげない時、CDをコピーしたのを、クルマで聴いているのだが、 数年前出たGSやニューロックを集めたコンピレーション、昭和元禄トーキョーガレージのビクター盤を放り込んだまま、それをラジオとか飽きたら聴いていた。
 各社横断GSコンピレーションシリーズとしては最後発だけあって、オリーブの曲が2曲も入っている上、ダイナマイツの「トンネル天国」やモップス、オックス、はつみかんな、チコとビーグルスの「新宿マドモアゼル」とか、聴けば必ず一緒に歌い元気なるジャイアンツの超名曲「スケート野郎」オレの大好きな曲がたくさん入っているからだ。


 

"昭和元禄トーキョーガレージ" (オムニバス, ジャニーズ, チコとビーグルス, はつみかんな, ザ・ジャイアンツ, 郷田哲也とサン・フラワーズ, オリーブ, 荒木一郎, ザ・ダイナマイツ)

 まあ、オレは昭和もんが好き、といっても、昭和45年までのものは音楽も映画も大好きな反面、それ以降のものになると途端に、鬱陶しくなってくる。特に、グループサウンズ、というムーブメントが終わってから起きた「ニューロック」に関してはもう蛇蝎のように嫌いである。確かに、芸能プロやレコード会社や芸能マスコミとかの束縛からは「自由」になったかもしれんが、ミュージシャンが自由になってできたのは、あからさまなモノマネだけのクソやゴミと思っている。そうなのだ、連中は、英米のロックをパクる「自由」が欲しかっただけなのだ。

 だから、このアルバムに入っている「青いジャングル」と「僕は君と一緒にロックランドにいるのだ」だけは、すっ飛ばして聴いていた。だって、「青いジャングル」の出だしは、明らかにビートルズの「カム・トゥゲザー」の有名な出だし、のパクリとしか思えない。しかも、「シュッ」という掛け声、その後のごちゃごちゃした電子音、をマネしたのはいいが、明らかに失敗してめっちゃくちゃカッコ悪い、と感じたし、その後の歌詞も、なにやら、青春特有のややこしさをこじらせた若もんがややこしいこと、ややこしく歌っているとしか感じなかったし、「僕は君と一緒にロックランドにいるのだ」に至っては、いきなり「カールソロモンよ、ぼくはきみと一緒にロックランドにいるんだ そこで君はぼくより気が狂っている」・・・である。最初に聴いた時明らかに曲に対して軽い殺意を抱いたほど腹が立った。ビートルズの安易なパクリ、ワケのわからん歌詞・・・アングラ、新宿、ヒッピーとオレのキライな三大キーワードの権化のような気がしたのである。
 
 まあ、そもそも「 とってもイカすぜ、スケート姿、かわいいあの子はボクらの仲間・・・・世界のむすめさん、さらって滑るー」というGS中イケイケソング1位2位争うジャイアンツの「スケート野郎」歌ったあと、神妙な顔した「カールソロモンよ、ぼくはきみと一緒にロックランドにいるんだ そこで君はぼくより気が狂っている」という世界にすんなり入れるわけない。

 もちろん、最初にこれだけの「嫌悪感」を抱かせるだけ、 この2曲はスゴいと云えるだろう。フツー、オレの場合、「ニューロック」と呼ばれる一連の音楽は聴いても、なーんも感じないし、そのまま、馬耳東風ちゅうわけだ。

 さて、爾来、1年は同じCDを何度も聴いた。さすがに、「スケート野郎」やモップスダイナマイツオックスだけだとしんどくなってくる時があり、いつもは、スキップしてた「青いジャングル」をフツーに聴いてみたら・・それが・・・エエのである。ヴォーカルがいい。「青春特有のややこしさをこじらせた若もんがややこしいこと、ややこしく歌っている」と感じた歌詞も、それなりに映像が浮かび上がってくる。へんてこな音ばっかな気がしたが曲そのものはごくごくマトモでしっかりしたヴォーカルと自然に耳に入ってくるのである。

 「カールソロモンよ、ぼくはきみと一緒にロックランドにいるんだ そこで君はぼくより気が狂っている」・・棒読みの朗読で始まる「僕は君と一緒にロックランドにいるのだ」も、ワケのわからん歌詞も理解することをあきらめて、フツーに聴くと、棒読みの部分と唄というかコーラスの部分の絡みが絶妙で、もちろん、これはレゲエでよくあるDJとシンガーの掛け合いのように見事なのである。しかも、曲後半に曲調ががらりと変わって朗読の部分が無くなり、歌だけになっていくのであるが、そうなるとけっこうノリノリな感じになり、特に「おお アメリカよ」からは、前半の「ややこしさ」が抜け、さっぱりした感じになり、明るくなっていくのである。

 かくして、この二曲、今では、「スケート野郎」の次ぐらいに繰り返して聴くようになってしまった。荒木一郎、恐るべし、ということであるか。

 青いジャングル 1971年 作詞作曲荒木一郎 唄荒木一郎
  僕は君と一緒にロックランドにいるのだ 1969年 作詞作曲荒木一郎 唄荒木一郎

  僕は君と一緒にロックランドにいるのだ JASRACでの歌詞は荒木一郎となっているが、アレン・ギンズバーグの「吠える」よりの訳詞だそうである。

カール・ソロモン! ぼくはきみとロックランドにいる
 そこではきみの方がぼくよりも狂っている
 ぼくはきみとロックランドにいる
 そこできみはとても奇妙な感じがしているに違いない
 ぼくはきみとロックランドにいる
 そこできみはぼくの母さんの幽霊をまねしている
 ぼくはきみとロックランドにいる
 そこできみはきみの12人の秘書を殺した

[From 980406]

 大嫌いな曲が大好きになってしもた・・・荒木一郎恐るべし! もちろん、聴いた後は、お口直しに「恋はもうたくさん」やら聴かなあかんが。やっぱ、カールソロモンより、キザなセリフで恋に墜ちたいもんな。

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