梅雨時の晴れ間・・・今日はそれに、湿度が低く、ホンマ云うと一年のウチでは、こういう天気が一番好きだったりする。プロ野球もないから、心乱れず、ヨロシ。
今週、何日かかけて、植木等のゴクラク映画BOXに入っていた「日本一の裏切り男」「日本一の断絶男」を観た。
まあ、それぞれ、1968年と1969年に封切られた、クレイジーが実は、 落ち目をとっくに通り過ぎて「生きた化石」みたいな感じだった頃の映画である。当時は時代の流れが今の10倍ぐらいだった。
じっさい、オレなんか当時、小学校高学年だったが、その頃のクレイジー・キャッツといえば小学校低学年の頃を思い出して、「懐かしい」と思うような存在だった。あと2本ほどで、植木等やクレージー・キャッツの主演の映画が終わってしまう、そういう時期の映画である。
しかも、小林信彦の著作「植木等と藤山寛美」とかでは、この二本は歯牙もかけられていない、そういう映画である。
実際、オレも「クレージーの黄金作戦」以降は、観ていて、途中「長すぎるわ・・・」と飽きてしまうほど、イケイケパワーで疾走していつの間にかおわってしもてる感が感じられなくなっていた。
で、結論から云うと、そうした末期の映画にもかかわらず、メッチャクチャ、オモロかったがな。
「日本一の裏切り男」は 、終戦の玉音放送聞き間違え特攻機で特攻してしまい、しかも生き残った植木等がその後、1970年(1968年に作られたから、2年後の未来だ!)までの戦後を一気にたどっていく話。当時の学生運動華やかかりし頃の反体制のノリで作った映画らしく、戦後日本のインチキ臭さ丸出しの、かなりアナーキーな作品で、久々に植木等がアンチヒーローしている。なにせ、最後は「居抜き」で日本そのものを売り飛ばそうとまでする、痛快痛快。
浜美枝がいつもながら出てくるが、かつてなく、異常なまでお色気が充満してなんか、テカテカしとった。 当時流行しとった長い長いつけまつげの片方放り投げたりした場面にはグッと来た。キドカラーの飛行船(覚えてますか?)にハナ肇がぶらさがって行くシーンも、ワシら世代には「懐かオモロー」で、GOO!
あと東京オリンピックの聖火リレーに植木等が混入するという、ついこの間さんざん見たような シーンまで入っとるし、田舎の農家の息子がテレビ何台もつけて、エレキギター弾きまくっているシーンとか、オモロイシーン多いと思う。
「日本一の断絶男」は、前も書いたが、大阪万博の工事現場のシーンだけでも、貴重なのだが、オレの大好きな緑魔子が今までの浜美枝とかの代わりに出てくる。
それだけで、なんか、植木等の映画、いや、東宝の映画とは思えない。実際、全体なんとなく、マイナーな感じが漂い、後半はモロ東映藤純子の「緋牡丹シリーズ」のパロディとか入ってくるが。まあ、オレは植木等大好きだが、それ以上に緑魔子が好きなので、緑魔子ばっか観てしもて・・・なにせ、最初の田舎から出てきたイモ姉ちゃんがバー勤めしたら、ヒッピー風な当時のカッコエエお姉ちゃんにすぐ変わって、ウシシシ。
そいから、緋牡丹お竜コスチューム(緋桜お竜)、そして、当時フツーのパンタロンルック、真っ赤なミニスカ、と、そいだけで、充分楽しめてしまったのだ。こっちはストーリーより、緑魔子と当時の風景とかクルマとか一瞬出てくる奥村チヨとかを楽しんだちゅうところか。なべおさみの相手役の「アテンションプリーズ」に出とった女優さんも、良かった(名前、今未確認)
あと、植木等の歌う 「静かな午后のひととき」(作詞:佐々木守、作曲:宮川泰、歌:植木等)もめちゃくちゃ気に入った。往年の「ハイそれまでヨ」の昭和元禄版というのか? 植木等のスキャットがフューチャーされたうっとりするようなソフトロックな前半部と後半のメチャクチャ過激な部分のギャップが素晴らしい。
まあ、どっちの作品も、小林信彦的にクレイジー・キャッツをとらえている人には向かないが、オレみたいなヤツには充分楽しめた。
キャプチャー入れるつもりだったが、そんなことしたら、あと2時間ほどかかってしまうので、ゴメン。(アマゾンでは下のボックス、もうフツーの値段に戻ってしもている。残念)
植木等のゴクラク映画ボックス(5枚組)
『日本一の裏切り男』(1968)/『日本一の断絶男』(1968)/『ハイハイ3人娘』(1963)/『若い季節』(1962)/『続 若い季節』(1964)のDVD5枚組ボックス!