岡村隆史復帰。もう、40になっているのか。そりゃ、シンドイだろうな。
海老蔵事件、イロイロ云われているが、海老蔵こそが今の「カブキ者」かもしれん。いや、現在のリアル「カブキ者」の被害者か。どっちにしろ、死んだ芸術になってしもた「歌舞伎」にちょっとは刺激に・・・ならんだろうな。
ああ今年ももう終わりか・・。
龍馬伝最終回。
なるほどなるほどなるほど。
最終回にして、ようやっとわかった。
まあ、オレの持つ坂本龍馬に関してのパブリックイメージ(個人が持つのにどこがパブリックか、ちゅうのは置いとく)というのは、司馬遼太郎に植えつけられたもんで、そもそも、司馬遼太郎が「竜馬がゆく」ではなく、「慎太郎がゆく」 を書いとったら、今頃は、中岡慎太郎こそが英雄視され、幕末のスタア人気投票ナンバーワンだったワケで、かなり司馬遼太郎の「創作上の人物」と云っていいほどの存在である。あえて、その司馬遼太郎の龍馬像を否定し、史実からいうと、そもそも、幕末から明治維新にかけて、「脇役」でしかない坂本龍馬をこの龍馬伝では、ムリヤリ維新動乱時の「主役」扱いするとこにすべての問題があるわけである。
今日の放送では、ついにGHQに与えたれた「戦後民主主義」のコンセプトを説くという芸当までさせられていた。これ以上長生きしたら、そのうち、今の憲法の九条まで説いてまわる勢いである。坂本龍馬は幕末の鳩山由紀か菅直人か?、ちゅうもんである。
「今」の感覚で過去を描くのは反則であるが、まあ、それがNHK大河だからしゃあないのであるが、そいでも・・それならそれで、かつての「新選組!」(坂本龍馬と近藤勇土方歳三は一緒に黒船来航を見て、以降も仲良しだったのだ!)ほどの割り切りもない。また、NHK大河の歴史からゆうて、織田信長豊臣秀吉徳川家康前田利家から上杉謙信直江兼続源頼朝義経、ついには足利尊氏近藤勇天璋院篤姫に至るまでNHK大河ドラマの主人公になった瞬間、みんな日本の「平和」を心からねがっていたというハンディも今回の坂本龍馬は当然、課せられているのである。
だいたい、
勝海舟を暗殺するつもりで会いに行って、 イキナリ、龍馬が勝海舟に「弟子にしてください」と頭を下げて勝海舟を殺す気マンマンの千葉道場のセガレの殺る気を削ぐシーン
やら
近江屋事件の前後あたり、新選組が最も調子づいていた時、バッタリ、新選組と出くわしたものの、そばにいた子犬を抱き上げ、頬ずりしながら、あっけをとられポカンとしてしまった新選組一行の、堂々と正面から通り過ぎるシーン
とか、
寺田屋で襲われたとき、風呂に入っていたおりょうが「真っ裸のまま」階段を駆け上がり、二階の龍馬に知らせに行くシーン
とか。
オレが、思わず、「カッチいい!}とシビレてしまった定番のシーンが今回ことごとく排除され、今の内閣の人間を連想させるような、やたら長くクドクドしい中身があんましない言葉をベチャベチャしゃべり、そのうち、感極まって大声で泣き始めたりする、反「司馬遼太郎の竜馬像」 で終始した。龍馬を「心の良い凄い人物」に書こうとして、やたら、岩崎弥太郎をはじめ周りの人間に彼を持ち上げさせるとこが多かったが、むしろ、いやらしさを感じてしまった。
云うてみたら、この龍馬伝の龍馬は今の日本の基礎を作った人物、それこそ、木戸孝允西郷隆盛大久保利通勝海舟徳川慶喜ら真の幕末の主人公達と並び称される人物として描こうとしているが、司馬遼太郎史観にどっぷりのオレからしてみたら、むしろ、明治維新以降の今の日本とはまったく別の「もう一つの日本」を夢想した人物、としての魅力の方がバカでかいのである。今の日本の礎を築く栄誉、程度の低いレベルで満足してもらったら困るのであーる。
本当のこというと、坂本龍馬は早死し、なおかつ維新後、ずっと忘れ去られ、日露戦争あたりになって、明治皇后の夢枕に立ちようやく思い出されたような人物なので、いくらでも、でっち上げることのできる人物なので、ドラマを創った俳優から脚本監督全員の、イメージ想像力がそのまま現れてしまうワケで、「龍馬のかっこよささ」の表現がこうも貧困でありきたりで「今」を一歩も抜け出ないものであるとガッカリしてしまうのである。かつてのあまたあるフィクションの坂本龍馬が持っていた「今」すらをも、軽く飛び越えてしまう「何か」は、今回、大河で、せっかく、新しく「坂本龍馬」を描くのなら、いや描くチャンスをもらったなら、その「何か」はなんだったのか、にチャレンジする「志」が欲しかった。
これじゃ、長生きして明治維新を迎えたとしても、二流の岩崎弥太郎になったり、薩長から排除され、二流の江藤新平あたりになったり、二流の板垣退助(そういや、乾退助、今回出ていたのであろうか)になってたり、が、オチである。龍馬が以降も長生きしたら、明治政府のかわりに、イキナリ、「戦後日本」が始まった、なんて、貧弱なオチも要らん。
そうじゃないだろう、そうじゃないだろう、と思うが、まあ、それが、人気投票永遠のナンバー2福山雅治が演ずるところの「今」の坂本龍馬像であるのである。
最後、やっぱり、謎の市川亀治郎一行が近江屋に押し入り、あの相撲取りが龍馬たちに知らせようと階段を駆け上ろうとしたら、龍馬に「ほたえな」と怒鳴られ、バッサリ斬られて死んじゃうシーンぐらいは、司馬遼太郎遺族の方々に原作料払っても入れて欲しかった。
次は上野樹里が主演か。のだめみたいなお江ならウレシイが、そうじゃなくても、ファンである上野樹里、ファンである宮沢りえ、ファンである水川あさみとか抑えるべきとこはちゃんと押さえとるがな。うん、NHKも考える人は考えとる。今度は全部見ようっと。
まあ、イロイロ文句云うたけど、福山雅治という「男」が主演してたから、だけかもしれん。 むさ苦しい男同士のあれやこれやは、シンドかった。