はつよさんのご厚意により、念願の1969年の日活映画「愛するあした」(愛するあした(1969))を観ることができた。いやあ、ホンマ素晴らしい映画である。
ブログ更新間が空いたが、この映画観たら、いろんなことを書きたくなって、書いたら、例によって収拾つかなくなって、まあ、ここはひとつ、じっくり書いてやろうと思たわけだ。まあ、税金の季節でもあるので、まあ、ゆっくりと。
1969年の日活映画「愛するあした」、久々にハマってしもうたがな。
基本的に、音楽めあてで観たのだが、どっこい、映画としてもオモシロかった。感謝感激雨あられですわ。
おかげで、このところの「赤いスイートピー」症候群が直り、暇でぽーっとしている時など、「赤いスイートピー」じゃなく「愛するあした」を口ずさむようになり、気分よい。まあ、そばで聴いている人がいたら、どっちも、似たような「唸り」かもしれないが、それはそれ、あれはあれ、である。
さて、映画「愛するあした」、伊東ゆかりの超名曲「愛するあした」(東海林修作曲安井かづみ作詞)をフューチャーした「歌謡映画」というジャンルに入る映画である。
主演は、伊東ゆかり、松原智恵子。和田浩治、中山仁、ワイルドワンズ、あと内田裕也がターッとかトゥーとかしか云わない役、東宝の「久太郎」有島一郎、おばけのQ太郎の曽我町子、左とん平とか。日活ゆかりの脇役が出てないような気がするが、製作が芸映社だからか時代が時代だからか、そいでも、配給は日活映画でちゃんと日活のマークで始まる。
舞台は1969年のどこぞの私立大学、学生運動もそろそろ下火になった頃である。伊東ゆかりと松原智恵子は学園のマドンナというかアイドルというか、彼女たちが出る授業は全員出席、立ち寄る飯屋はいっぱい、広末入学時の早大よりスゴいか。彼女たちをストーカーしている専門の盗み撮りグループ(これが、ザ・ワイルドワンズの面々というのであーる)さえ存在する・・・。
松原智恵子にからむのが日活の生え抜き和田浩治、それにふりまわされるのが、伊東ゆかりと中山仁という図式。
松原智恵子の文通相手ブラジルの大富豪中山仁(日系三世のブラジル人という設定)が彼女に会いに来ることになって、大騒動、恋人和田浩治を伊東ゆかりに預けて、大騒動、文通相手に会って大騒動、あれやこれや、で途中、伊東ゆかりの孤児院が経営不振で閉鎖するかもという状態がわかり、あれやこれや、というお話である。
今回は、伊東ゆかりと、オレの大好きな曲「愛するあした」を中心にこの映画を感想を書く。
「愛するあした」以外では、伊東ゆかりでは「朝のくちづけ」(有馬三恵子作詞鈴木淳作曲森岡賢一郎編曲)、「汐風の二人」(安井かずみ作詞平尾昌晃作曲)「知らなかったの」(山口あかり作詞平尾昌晃作曲)、あとクレジットされていないが、童謡「あのこはだあれ」「浜千鳥」を歌うシーンがある。もう伊東ゆかりが歌手として全盛期の映画なので、童謡のシーンも新鮮で良かった。伊東ゆかりの「小指が痛い」も、和田浩治と子供達によって唄われてたりする。
GSでは映画出演は珍しい、ザ・ワイルドワンズが出てて、「昨日に逢いたい」「バラの恋人」「マーシー・マイラブ」「すべてを捧げて」。まあ、扱いがなんか半端な感じがするが、それでも、伊東ゆかりと和田浩治の仲に悶々としながら唄う「すべてを捧げて」は、笑えた。
でも、やはり、「愛するあした」(東海林修作曲安井かづみ作詞)である。オープニングと終わりの伊東ゆかりの歌が入ったパターン以外にも、映画中、インストでいろんなバージョンが入っとる。
・ギターアコースティックバージョン (松原智恵子がひとり部屋でいるシーン、行きしのタクシー内、松原智恵子・中山仁が競技場)
・サンババージョン (松原智恵子・中山仁ダンスシーン)
・ムードミュージック風バージョン (松原智恵子・中山仁ナイトクラブにて)
・マーチ風バージョン (ヨコハマ港外国客船)
多分他にもあるんだろうけど、オレが見つけたのは以上。
これらの曲がまた、程よくロマンチックだったり洒落てたりしてシーン(主に松原智恵子が出演しているシーンに多い)に溶け込んでいるわけである。「愛するあした」という曲が、いかに当時の歌謡曲としては異質か、よくわかる。まあ、例えば、映画中で伊東ゆかりが唄う「朝のくちづけ」「知らなかったの」、或いは、大ヒットした前年の「小指が痛い」でも、90分なりの映画のテーマミュージックとして、インストをボサノババージョンとかサンババージョンとかシーン毎に変形されての使用に耐えられたか、どうか?
ともかく、「愛するあした」以外がテーマミュージックなら、映画の印象全く違ったものになっただろう。団体行動が中心の学生運動終焉後、ようやっと個人に戻り、それぞれの学生生活に戻りつつあり、そして学生運動とはまったく別の次元でみんながまとまってみせる、というこの映画では、オレは他の曲じゃやっぱ無理だと思うのだ。
ラスト近く、伊東ゆかりのソロによる熱唱、学生運動の闘士たち応援団のむさ苦しい連中あとフツーの学生とか孤児院のガキ共巻きこんで全員との合唱シーンであろう。ただただ感動する以外ない。
上の映像で伊東ゆかり、メッチャクチャきれいに映っているが、映画でもそう。伊東ゆかりが「うふっ」を使いまくるがメッチャクチャカワイいぞ。
まあ、一週間かけて、この程度・・・か。まあ、しゃあない。
ちゅうことで、次回は、この「愛するあした」は同時に、松原智恵子と和田浩治の日活映画でもあるので、そっち側から、書いてみようと思う。